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君と朝まで

 土曜の夕方5時きっかり、家の呼び鈴が鳴った。鍵はかけていなかったので、台所に立ったまま開いてるからあがっていいよと声を張るとドアは元気よく開いた。
 「ほい、みやげに酒買ってきたぞ」
 「おー、ありがとう。それじゃあそこの冷蔵庫の中に適当に入れといて。」
 大学時代からの友人ヨンを久しぶりに家(といっても小さな賃貸のアパートだが)に招待した。
 「ちょっと待ってて。今つまみ作ってるから。適当にくつろいでて」
 「りょーかい。ところで何作ってんの?やっぱあれか?」
 「言わずもがなの出汁巻き卵」
 そう答えるとヨンはやっぱりと笑った。
 「サナといえば出汁巻きだもんな。その辺は何年たってもかわんねぇだなあ」
 
 「駄目だ。テレビ見るものない」
 テレビを消したヨンは、ごろりと横になるとベッドの下に置いてあった卒業アルバムを見つけた。
 「お、卒アルじゃん。なつかしい、まだ置いてあるんだ。俺のなんか実家でほこり被って眠ってるよ。なぁ、見ていい?」
 「ちょい待ち。・・・よし完成。料理も出来たし食べながら見よう」
 料理の方は時間もかけたのでかなりの種類と量を作った。ヨンは作り過ぎと言いながら机の上に酒と料理を並べたが、一晩飲み明かすのだ。このくらいでちょうどいいでしょ。
 「相変わらずサナは料理上手な。お!お~なつい!アユミちゃんじゃん。今頃どうしてんのかな~。」
 「経理してるって聞いたよ」
 「経理!アユミちゃんが!?飲み会の集計もろくにできなかったのに?」
 「本人曰く成せばなる、だって」
 「へ~。じゃあさ,中村は?」
 昔話に華を咲かせているうちに、時間はあっと言う間に過ぎてしまった。
 
 時間は夜9時をまわっていた。
 サナはそろそろ本題に移ってもいい頃合いかと思い、切り出した。
 「あのさ・・・結婚するんだって?」
 「ーーあぁ」
 ヨンはついに来たかというような、覚悟は出来ていたけど出来ることならこのまま聞かれたくなかったような気まずい笑みを顔に浮かべた。
 「いつ?」
 「来月・・・ごめんな、親族と会社の仲間しか招待してないんだ。相手の希望とかもあったしさ。ほら、それに大学時代のこといろいろ言われちゃうとアレだし」
 「まぁ・・・たしかに」思わず苦笑い。ちょっとそらすかな。「とにかくおめでとう。それにしても結婚ね、いよいよそういう年齢に来ちゃたかー」
 「な。自分でも未だにピンと来てない。ましてや将来の子供のことなんてなんてなおさらな」
 「卒業式にベビーカー押してる女の子の見たときはたまげたけど」
 「ははっ、そんなこともあったな」
 ヨン、幸せそうだなと話しながらサナはひしひしと感じていた。

 夜も更け酒のペースもグンと上がり、酔いも勢いを増していった。
 「だけど奥さんと出会ってまだ二年しかたってないんだよ?やっぱり早すぎるんじゃない?」
 「おいサナ、それ三回目だぞ。おまえだいぶ酔ってるな。大丈夫か?」
 「へーき、へーき。夜はこれからだよ」
 なんだか無性に楽しくなってきた・・・それに気持ちよくなってきた・・・
 ・・・やっぱ気持ち悪い・・・
 
 びくりと動いた自分の体に驚きサナは目覚めた。
 うわ、朝じゃん。っていうか十一時過ぎてるし。それに頭いったい。
 ヨンは?と思ったのと同時にきれいに片づいている(記憶にない)机の上の置き手紙を見つけた。
 
 朝までとか言ってた張本人が寝るか?飲み過ぎだバカ。泣いたのとか覚えてないだろ。
 食器は片づけたし、残り物は冷蔵庫。
 ーー女は上書き、男は保存って言葉知ってる?だからたぶん、俺は忘れないよ。サナのこと。
 帰ったら爆睡します。それと鍵はあの頃のあの場所に置いておきます。
 
 男は保存。これから結婚するやつの言葉か?奥さんが知ったらどうするつもりだ。アホか。
 だけど、まあ、たまには思い出してくれてもいいかな。
 サナはサンダルをひっかけ、あの頃の二人で決めた置き場に隠してある鍵を手に取った。


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聞いてほしいんだ

もうすぐだ。
 沢永修一は腕時計をにらんだ。先ほどから何度も確認しているが、秒針が気を利かせて早く進んでくれることはない。
 もうすぐ後輩の秋ちゃんがここに来るはずだ。
 理学部棟の裏、人通りの少ないこの場所ならまず誰も来ない。邪魔されることはないだろう。
 学祭前日、準備も終わりあとは明日に向けての前夜祭を残すのみだ。その前夜祭までの空き時間に沢永は秋にここに来るように友人に頼んでおいた。本当は自分で呼び出したかった。だけど入学したての4月、自己紹介を兼ねたメールアドレスが飛び交うその時期に沢永は秋のアドレスを聞きそびれてしまった。以後今日に至るまで沢永はタイミングを逸し続けてきた。
 秋本人を直に呼び出す力は、沢永の男としての経験値がまるで足りず、結局友人に頼むほかなかった。
 アドレスを知らないからといって別によそよそしい関係ではない。むしろ男女の先輩後輩の関係でいったらかなり仲はいいほうだ。少なくとも沢永はそう思っていた。大学では昼休み放課後と、だいたいどちらも部室に流れ着くので毎日のように顔を会わせるし話も弾む。とにかく話が合うのだ。
 秋ちゃんが俺のことを嫌っているとまではさすがに思えない。それに秋ちゃんはこう言ったんだ。「学祭、一緒にまわりたいです」
 秋ちゃんはただ単に学祭を見てまわりたいだけで、別に俺と一緒にいたいと思って言ったわけじゃないと思う。それはわかる。だけどそのとき思わず考えてしまったんだ、それがどんなに楽しいかって。
 秋ちゃんとそういう関係で学祭をまわる姿を考えれば考えるほど想いは強くなった。だから今俺はここにいるんだ。関係が気まずくなったらどうしようかとも思う。だけどここまできたんだ、もう後には退けない。考えても今更だ。
 時間だ。
 二分が過ぎた。
 来た。秋ちゃんだ。
 沢永は真っ白になった。頭にたたき込んだはずの言葉たちは一目散に逃げ出しまったらしい。おまけに心臓の音がうるさい。やかましくて逃げ出した言葉を見つけられない。
 秋の方もどうやら沢永を見つけたようだ。沢永に駆け寄ってきた。
 「沢さん、ネタ見せって聞いたんですけど一体何ですか?」
 沢永は散り散りになった言葉を必死でかき寄せた。
 「あのさあ!」


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美女の誘惑

 (私のこと、欲しいんでしょ?)
 「うるさい」ーやめてくれ。
 (いいじゃない、イライラしてるのでしょう?落ち着くわよ?)
 「話しかけてこないでくれ!おまえとはもう終わりにしたいんだ。おまえといると身体がもたないんだよ」
 私は彼女を投げはらった。
 そんな私の行動を気にすることもなく彼女は言う。
 (それは無理な相談だわ。だって本当はわかってるんでしょう?あなたはワタシから離れることなんてできないんだって。)
 「たしかに今まではそうだった。だけど今回は違う。今度こそ終わりにしよう、もうおまえとヨリを戻すつもりはない」
 彼女をゴミ箱にたたき込む。
 (ワタシを捨ててもムダ。次のワタシがまたあなたの下にやってくるわ)
 「新しいパートナーができたんだ。だから大丈夫だよ。おまえになんかに惑わされることはない」
 (・・・パートナーっていったい誰のことよ)
 「おまえの大嫌いなイシャだよ」
 時が凍りついた。
 氷が溶けだし、時がまた慌てたように動き出すと彼女は答えた。
 (そう。それじゃあ仕方がないわね。身を引くわ。けど寂しくなったらまたいつでもワタシのところにいらっしゃい。前と変わらず気持ちよくしてあげるから)
 また会いましょ。この言葉を最後に彼女の声は聞こえなくなった。
 「さよなら」

 ちなみにこれは禁煙のお話


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