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猫とビールと我輩と3

店内の客たちは天井から突然降ってきた音子に驚き、目を丸くしながら

音子に視線を注いでいた。

客たちは驚いていた。しかし、音子の驚きは客たちのそれをはるかに上回った。

猫。猫。猫。

客たちが皆猫なのだ。

猫が椅子に座り前足(?)で各々酒を手にしている。まるで人のように。

やはり夢としか思えなかった。思えなかったが、お尻の痛みが「これは夢じゃないよ。」と

音子に告げている。

「えらいことに来ちゃったかも・・・」音子が少しずつ落ち着きを取り戻していると、

一匹の年老いた白い猫が「歩いて」近づいてきた。体毛で目が見えない。

「いらっしゃい、人のお客さんなんて珍しい。なんのようだい?

お客さんならワシの店は人だろう猫だろうが歓迎するよ。」

口調、声のトーンからしてどうやらこの猫はオス、おじいちゃんらしい。

音子はぼんやりとその白猫の話を聞いていると「あれ?」 と感じた。

そして一気に頭がはっきりと鮮明になった。そして頭が追いつくことができなかった

驚きと疑問が次々と言葉となってあふれだした。

「しゃ、喋った!猫が喋ってる!ていうか立ってるし!二本足で!

なに?どうなってるの?ここどこ!?どこなの!?」

早口でまくし立てる。混乱がますます混乱を呼んでしまい、

音子はもう泣き出しそうになってしまっていた。

「せっかちなお客さんじゃのう。そんなに一度に質問されても追いつけんよ。

少し落ちつきなさいて。ほれ、これでも飲みなさい。」

そう言うと白猫は冷蔵庫から一杯のミルクを取り出し、

「これはサービスじゃよ。お代は取らないから」と差し出してくれた。

音子は「何で冷蔵庫なんかあるのよ」と頭の片隅で思いながらも

ありがたく頂戴し飲み干した。

音子が落ち着くまで白猫は何も言わずに待ってくれていた。様子を眺めて

いた客の猫たちはもう自分たちの話に戻っていた。

目が赤く充血し、少し鼻もぐずついてはいたが音子はだいぶ落ち着きだし、

それを確認してから白猫は話し始めた。

「ここは猫たちの集まる酒場じゃよ。だから、お客さんも猫だし、オーナーの

ワシもこの通り猫じゃ。だからほとんど人は来やせん。まぁごくたまにお前さんのように

人も来るがの。だいたいは迷いこんでここにやってくるクチじゃよ。

ここに来るにはいろいろ入り口があるんでの。普通、人には見えんのだがたまに

その入り口に入りこんでしまうのじゃ。」白猫は話を続ける。「安心しなさい。

帰れなくなるなんてこはありゃせんから。それに初めは皆お嬢ちゃんのように混乱して

おったが、皆この店を存分に楽しんでから帰っていっておるよ。だからお嬢ちゃんも

楽しんでいっておくれ。なに、猫たちが集まる店じゃ。お金のことは心配しなさんな。

それでは改めて。いらっしゃいませ。人間のお客さん。」

おじいちゃん猫は優しく笑いかけた。

ゆっくり話してくれたおかげでまだ混乱はしているし、納得できないことが多々ありは

するが、音子は落ち着きを取り戻していた。そしておずおずと白猫に尋ねた。

「すみません、確かに私迷い込んじゃったのかもしれません。だけど私たぶん

客としてこのお店に来たんじゃないと思うんです。実は私アルバイトの求人

広告を見て、そこに書いてあった集合場所に行ったんです。そしたら突然

大穴が現れてそこに落っこちちゃって。それでこのお店に着いたんです。

だからたぶん私がアルバイトの面接を受けようとしたお店って、もしかしたら

このお店のことじゃなんじゃないでしょうか?」

客じゃなく、アルバイトつまり従業員希望として。

「お嬢ちゃん、あの広告が見えたのかね!」

白猫の目は体毛に覆われて見ることはできない。できないが、

それでも驚いている表情を読み取ることは容易だった。


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